令和元年5月号

自由の中の拘束

介護サービスの提供において、なぜ人権の尊重が重視されているのでしょうか。それは憲法第11条で保障されている「国民はすべて基本的人権の共有を妨げられない」ものであり、たとえ認知症が進み日常生活の自立が困難となった人でも、生命がある限り一人の人間として正当に生きる権利が与えられているからです。

社会福祉の精神として健康な人間がそれを守ってあげる義務を持ち、国民の相互協力によって人間社会が守られていくのです。

誰でも好んで介護を受ける体になってしまった訳ではなく、苦しみを受けるために生まれてきた訳でもなく、平等な社会生活を営むことを望んできた筈です。しかしその自由が拘束されることによって、苦しみと闘わなければならない境遇に置かれているのが介護を必要とする高齢者であって、精神的な束縛から解放されない苦しさは、やはり自由の中の拘束ではないのだろうかと思うのです。

もし「老いていく人生とは何だと思いますか」と問われても、はっきりとした答えができないと思います。人間は老いて死んでいくわけですから、人生の最後の時期に入った老いは、その人にとって一番大切な時でありながら、自分がどのような最期を迎えるかについては、実際にはそんなに真剣に考えている人は少なく、「なんとなく長生きしてしまったので、いつでもぽっくり逝きたい」と思っている高齢者も案外多いと言われています。

人生は否応なしに1年ごとに年齢を重ねていくことから、施設の利用者様も数年先を見つめながら、迫りくる人生の終節に向かって、かけがえのない人生を少しでも有意義に過ごしたいという気持ちを持たれている筈です。

人間は目的なしに生きるということはできないのです。たとえ高齢が進んでも生きるという目標を失ってしまうと、気持ちが非常に不安定になるもので、悩み、あせりから精神不安定へと進んでしまい、全く気力を喪失した形だけの姿になってしまい、人間が持つべき能力は消滅へと向かっていきます。

こうした高齢者を少なくしていくために、厚生労働省ではリハビリテーションによって、高齢者が社会復帰できるような施策を推進しています。つまり気力を失いかけ介護に頼ろうとしている高齢者を、体を動かすトレーニングによって筋力再生を働きかけ、人間らしい活力を呼び起こそうという考えが基本にあり、これを施設に頼るだけでなく地域ぐるみの活動に展開していこうとしているのです。

確かに医学の進歩によって高齢者が急増してきましたが、これが高齢者にとっては果たして幸せなのかと言えばどうでしょうか。中には仕方なく長生きさせられてしまったという感じがしている方もいるでしょう。

団塊の世代の高齢化によって平均寿命は間違いなく100歳に向かっています。本当の人間の生涯はどうあるべきかは高齢化社会にとって極めて重要な課題となっていることは間違いありません。

荷物の重さと責任の重さ

「力があるから重い荷物を背負うことが出来る。」ではなく「重い荷物を背負うから力がでる。」のです。 荷物には軽いものもあれば重たいものもあります。また、小さい物もあれば大きな荷物もあります。

荷物によってはそう苦労せずに背負えるかも知れませんが、女性や体格の小さい人には同じ荷物を背負うにしても、大変な力を必要とします。

人生の荷物とは物理的なものではなく、心の荷物を言っているのであって、「あの人はお荷物になる」と言われれば、つまりグループから役に立たない厄介者扱いにされていることになります。ですから重い荷物(責任)が自分に課せられたとき、どのように工夫して背負えるかです。

「自分には荷が重すぎる」と言って遠慮する場合もありますが、これは命じられた責任の遂行に対して自信がないからとか、或いは遠慮して言う場合がありますが、物事を遂行していくためには、必ずその荷物を背負わなければならないポジション(立場)があるもので、これを責任を持って成し遂げることによって成果は上がっていくものです。

 初めからこの荷物は重いからと思い込み、あきらめてしまっては何も動かすことはできません。荷物を背負ってみようとする気持ちになれば、思わぬ力が出せるものです。

 無理に大きな荷物を背負うと背中や腰を痛めてしまいますが、だからと言って自分だけが軽い荷物を背負い、他人に重い荷物を押し付けてしまっては文句が出ます。これが自己責任の均等性です。つまり与えられた責任分野を自覚し、しっかりと遂行することによって、納得のいく成果が達成されるものです。

 そこには当然その地位によって責任の度合いが違ってきますので、その地位に応じた責任を背負わなくてはなりませんが、物を持ち上げるときに、ぶら下げっている人がいては、いくら持ち上げようとしても簡単にはいかないでしょう。つまり一人が気を抜いては他の人に余計な力の負担がかかってしまい、計画していたものが実行できなくなり、余計な疲労が加わるだけのことになってしまいます。

 重い荷物を軽くするためには、多くの力が結集していくことによって、自然とその荷物の重みが分散され、一人ひとりの負担は少なくなっていきます。介護業務もそのように職員全体の力によって、安全なサービスの提供が達成されるものであり、職員には常に力の配分を頭に置いて、事故のない介護支援に徹するよう心掛けております。

介護福祉施設の職員の労働と健康

介護老人福祉施設で働く職員は、介護員や看護師のほか生活相談員などの11の職種に分かれて、それぞれの役割や責任を持って行動しながら、決められた仕事だけでなく、利用者の皆様の生活全般における支援を協働で行っています。これは利用者様がさまざまな疾病を抱え、重度の認知症を伴う方が多くなり、生活の安全を守るための社会的責任を負っているからです。

労働安全衛生法では職員の健康問題として、介護業務における特徴として腰痛や頸肩腕などに症状が出やすい職場であり、健康に働きつづけられるような職場環境づくりを考え、常に健康管理に取り組んでいく必要性が不可欠とされています。しかし、実態は限られた介護報酬財源のなかで、介護職員数は利用者定員数に対して3:1の基準が設けられているために、限られた職員数で利用者様本位の介護支援と安全を守らなければならない義務が求められていることから、厳しい労働環境が続いており、高齢者介護の職場が敬遠されがちな実態となっています。

今までは腰痛や頸肩腕障害だけが介護現場の特徴として言われていましたが、入所者の基準が要介護3以上に限定されたため、日常生活の行動にも多様な神経を使う業務が加重されてきていることから、精神的ストレスが加わるようになり、疲労が抜けきらないまま翌日の業務を続けざるを得ない実態が発生しやすくなり、職場の人間関係が薄れてしまう危険性まで心配されるようになってきつつあります。介護の業務は組織のチームワークによって成り立っているため、人間関係が薄れてしまうことによってバーンアウト兆候が増していく心配があります。

このような状況は厚生労働省も十分理解しており、職員への処遇改善を図るため、今年の10月から大幅な賃金改善の実施に向けて、総額1千億円の支出財源によって介護施設の職員の待遇改善を図ろうとしています。しかし賃金の引上げだけでは労働力の改善は困難で、職場の労働環境を根本的に改善するような国の施策が強く求められます。

相撲巡業見学:4/26(金)

あいにくの雨でつつじハイクが中止になってしまい、急遽お相撲さんとの交流を企画。大きなお相撲さんを前に皆さんとても楽しまれていました。

集合写真

5月の行事計画

 5日(日)節句茶話会     
 7日(火)誕生会                   
10日(金)選択食       
17日(金)買物ハイク     
      選択食       
20日(月)理髪(2階)                
21日(火)ドッグセラピー(予定)
27日(月)理髪(3階)
24日(金)藤橋小学校6年生歓迎会
29日(水)利用者レントゲン
31日(金)利用者日帰り旅行(河口湖)

6月の行事計画

 5日(水)誕生会       
      しょうぶ公園見学  
14日(金)選択食       
17日(月)理髪(2階)    
18日(火)ドッグセラピー(予定)
21日(金)買物ハイク
28日(金)選択食

療育院だより

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